第1話/フミ! ウメちゃんのこと好き?


フミがまだ2歳の頃の話である。いまでは愛想も良く、天然キャラを発揮しまくっているフミも
小さい頃は、そうそう誰にでも心を開くような事はなかった。
ホッケーをやりに家族で出かけると、マユねえはみんな(大人)と一緒になって遊ぶのに
フミだけはそうもいかなかった。
それでも何回か顔を合わせて遊んでいれば、
みんなとも仲良くなって、安心して笑うようになるもので、
気がつけばマユねえと同じようにみんなと遊ぶようになっていました。

んが、、、例外があった。
ホッケーチームのキャプテン、ウメちゃんにだけはなかなか心を開かなかった。
ウメちゃんは、昔っからかなりやんちゃだった。30歳を過ぎたいまでもやんちゃだ。
どれくらやんちゃかというと、30にもなってコンビニの前で憂さ晴らしをするくらいです。
どんな憂さ晴らしかは、、、ここでははっきりと言えないなぁ〜。
まぁ〜町のお掃除をしているようなもんだと思ってください。
そして「子供キライ!!」と子供に向かって言ってのける人物だ。
でも水泳教室なんかで子供相手に教えていたり、自分に絡んでくる子供の相手をしてやったり、、、
まぁ〜本当は好きなんだが、要するにあまのじゃくなのだ!!(笑)

そんなウメちゃんが、ホッケーするたびに、フミと顔を合わせれば
「ふみぃ〜! ウメちゃんのこと好き?」と聞く。
するとフミは決まって、言葉も出さずに首を横に振る。しかもオレかヨメにしっかり抱かれながら。
何度ウメちゃんと遊んでも、どんなに機嫌のいいときでも
ウメちゃんが「ふみぃ〜! ウメちゃんのこと好き?」と聞いて、首を縦に振ることはなかった。
ある時、オレはウメちゃんに提案した。
「好き?と聞くからいけないんじゃないの。子供だし意味がよくわかっていないんだから
『ウメちゃんのことキライ?』って聞けばいつものように首を横に振るでしょー!」

早速ウメちゃんは試してみた。

「ふみぃ〜! ウメちゃんのことキライ?」
フミは間髪入れず、そしてしっかりと首を縦に振ったのでした、、、


強靱な肉体を誇るウメちゃんがノックアウトされる瞬間を見た気がします。
フミ、、、質問の意味は最初っから理解できていたのね、、、
でもね、世渡りって言葉を覚えた方がいいよ。

そんなフミとウメちゃんの危うい関係も、いまではしっかり修復されていて
いつからか「ウメちゃん>強い!!・カッコイイ!!」になっていました。

それがフミの本心なのか、世渡りを覚えたのかはオレの知るところではありません、、、



★ウメちゃんの話をもう一つ
彼はしばらくぶりに会った、別のホッケーチームの友達に
顔を合わせるなり「久しぶりじゃ〜ん。相変わらず治安悪ねぇ〜」って言われていた。
ウメちゃんはそんな人。。。フォローなく終わります。