第58話/リクゾー大地を這う


リクのハイハイはなかなか時間かかりました。
後ずさりするところから、なかなか前に進めませんでした。
おしりをぎったんばっこん・・・前後に振るだけで
前に進まず後ろにズリズリ。。。
いったいいつその時はやってくるのか?
家でも保育園でもみんな「いつだいつだ」と楽しみにしていたんです。
そしてある日、保育園に行くと担任の先生が

先生「リク君、今日前に進みました!」

おぉぉ〜〜!!!素晴らしい。
でも昨日までまるで進む気配がなかったのに
昨日と今日とで何が違うんだ、リクよ。

そしてその報告を聞いたまま、リクはちょっと風邪気味だったので
病院へクスリをもらいに行きました。
リクを病院の待合室の大きなイスに四つん這いにさせ
オレもヨメも半信半疑な気持ちと期待とを込めて

オレ「リク、ハイハイしたのか?」
ヨメ「前進んで見せてよ」

リク「あぁーー」

あっさりハイハイしやがりました。
しかも大騒ぎしている両親を見ながら
「なにそんなに騒いでンのよ? 普通だろ?」くらいの顔してんですよ。
さっきも書いたけど、この頃の子供の
“昨日”と“今日”の差ってすごいですねぇ〜。
いったいどこで急激に進化を遂げてるのよ?

そしてアッという間にハイハイを自分のものとしたリクに
大きな障害が立ちはだかる日が来たのでした。

床を見ながらハイハイで部屋の中をズンズン進んでいくリクの先に
テーブルがあり、その角に頭をぶつけるんじゃないかと慌てて止めようとしたら
ちょうどリクが下を向いていたので、四つん這いで下を向いたまま
スーッとぶつけず入っていける高さだったんです。
頭も打たずにそのまま進む分には危険はないだろうと見ていたんですが
大きなテーブルの真ん中付近で、上を向きたくなったらしいんですね。
でも下を向いていてテーブルの高さとジャスト・サイズだったので
いくらリクが頭を上げようとしてもテーブルがあって上は向けません。
リクはそんなわからないので
誰かが自分の頭を押さえつけてる!!ってな感じで
四つん這いのまま下を向いて

リク「アァァ〜〜〜〜、、、アァァ〜〜〜〜、、、」

と、半分怒っているような、半分助けを求めるような声で泣きわめいていました。
テーブルも意地悪してるわけじゃないんだけどね。
なにもテーブルの真ん中で頭あげたくならなくても。。。
リングの中央で技を極められ、ロープ・ブレイク求めて必死になっている
プロレスラーのようでした(笑)